素朴であたたかさを感じる布をお届けしている生地屋です「生地のヨシムラ」
服作り工房
▲TOP

第12回:〜初体験〜『メンズジャケット』Part4

 暑さ寒さも彼岸までと申しますが、猛暑の後だけに秋の装いが趣深く引き立つのではないでしょうか?
皆さんはこの秋どんな装いをお考えですか?

さて、今回の服作り工房では、シリーズでご紹介している『メンズジャケット』の第4弾として『準備工程』をテーマにご紹介していきます。
途中から読み始めた方のために、途中経過をご案内しますと、これまでの前3回ではこのようなことをやっていました。

★第1弾:初めに ・・・ >>>
★第2弾:トワル組・・・ >>>
★第3弾:仮縫い ・・・ >>>

 こうして前回のパート3までやっと仮縫いが終わり、ここからがいよいよ本番。
・・・とはいえ、まだまだ準備段階。料理に例えれば、『下ごしらえ』というトコですか?
美味しい物を作るには前準備って大切ですよね。
そこで、今回は縫製前の下ごしらえとも言える『準備工程』にスポットを当ててみました。
(今回紹介する工程は文化出版局の男子服を参考に記載しました。文化出版さんにはちょくちょく広告を出しているとはいえ間接的に色々と利用させていただきいつも感謝しています


▽▼▽


下ごしらえ
 まず、準備工程として次のことをします。

1.表地の裁断
>>> 前身頃、後ろ身頃、袖、表襟、見返し、胸ポケット(口布、向う布)、腰ポケット(フラップ、口布)を裁断します。

ポイントとしては次の通りです。
毛並みのない場合は差し込んでも良いですが、できれば一方栽断がオススメです。
格子などの場合、1割ぐらい多めに生地を用意しておきます。
仮縫いを行わない場合など,補正を考えて縫い代は多少多めにします。
見返し、表襟、胸ポケットや腰ポケットのパーツも裁断します。

こんな感じで裁断します。
服作り工房 服作り工房



2.芯の裁断と貼り方(図-1)
>>> 既製の芯または接着芯を用意します。
大変ですが、次の場所に貼っていきます。(前芯、見返し芯、背芯、裾芯、袖ぐり芯、袖口芯、襟芯、ポケット力布)
その他用意しなくてはいけないのはこちら(胸増し芯、ラペル増し芯、ポケット口芯、接着テープ)
う〜ん、たくさんありますね。

拡大して見る

そしてここでのポイントは・・・
接着芯の場合、前芯は厚手、その他は薄手の芯を使用します。
襟裏芯は紳士用の接着襟芯を使用して、裏襟のカラークロスの布目と同じに
  バイアスで裁ちます。
表襟は襟先に10cmぐらい芯を貼る。
前芯に重ねる増し芯は、ポケットが出来上がってから貼るので後回しです。
ラベルや裏襟はハ刺しで作る場合もあります。



3.裏地の裁断
>>> 必要な場所は、前身頃・後ろ身頃・袖・腰ポケット・内ポケット口布の部分です。
ベンベルグの裏地なんかが着心地的には良いのでしょうが、柔らかい裏地は後々縫いにくくなりますので最初はポリエステル素材なんかが無難かな?

裁断の時のポイントはこんな感じ。
裏地を2つに折って型紙を配列し裁断します。
裏前身頃は表布の前肩のクセ取り分として肩幅を1cm追加します。
袖は、袖ぐり下で袖つけ縫い代の立上り分として3cm付けます。
幅の不足分として内袖、外袖ともに袖幅を0.5cmずつ広く裁ちます。



4.クセ取り(図-2)
>>> 前身頃、後ろ身頃、外袖、裏襟の部分にはクセ取を行います。
どうして?なぜ?そんなことが必要なの?

平面に裁断された布を立体的に形作るためにはクセ取りが必要です。
クセ取りの方法は、それぞれの布を左右中表に合わせて、スチームアイロンで両面から
  クセ取りします。

拡大して見る

具体的にはこんな感じです。
A. 前肩の基点を決め、サイドネックの部分は布目を動かさずに矢印の方向に布を引きます。
  人間の肩は前に向いていますから、クセ取りによって前肩が楽に入り形も着心地も良くなります。(それだけ大切な作業なのです。)

B. 背中心は直線になるまで追い込みます。
  肩線、袖ぐり線も図のように肩甲骨のあたりにふくらみが入るように追いこんでいきます。

C. 外袖の脇線の位置を矢印の方向にくせとりをします。
  図のように1cmぐらいカーブさせると、形の良い袖ができます。

D. 裏襟(カラークロス)の返り線を折り、返り線をいせると同時に襟つけ線を伸ばして、図のように返り線をカーブさせていきます。



5.ポケットの準備
>>> それではそろそろ装飾的な部分に入りましょう。ポケットの準備です。
ポケットと言っても、胸ポケット・腰ポケット・内ポケット・隠しポケット、結構色んな種類がありますね。
今回はこの期に及ぶまでジャケットの詳細デザインを決めていなかったので、この段階で考えてみました。
生地がネップの入った生地なのでカジュアルテイストなジャケットに。
今年はウォームビズということで、カジュアルなジャケット注目されていますよね。
そこで、パッチ&フラップの、こんなデザインを考えています。


下ごしらえはこんなところですが、引き続きハ刺しにチャレンジしたので、ちょっと紹介します。

ハ刺し(はざし)に挑戦!
 今回、ラペルは接着芯でなく本格的な『ハ刺し』をしました。
私(ウルマ)自身、もちろん、ハ刺しは初めてだったので、ハの字に縫っていくモノだと思っていたのですが、実際はノの字の往復でした。
(知らなかったとはいえ、はははっ。。。)

ハ刺しをしている時は、みんな黙々と無口で作業しているので、まるで、カニをむいて食べているようでした。(他人が見ると結構笑えます。)
どうしてこんな大変なことをするのかスタッフの(塚原さん)に聞いたところ、『ハ刺しをすることでラベルの返りがきれいに』できるとのことでした。
ラベルを返しながら指先で調整してハ刺しをすることで、自然な返しになるそうです。(奥が深い)

悪戦苦闘の末、こんな感じのハ刺しになりました。

ようやく少しずつ形が出来てきましたが、このレベルになるとパパソー主役の私にはちょっと荷が重く、なかなか出番なし。塚原さ〜ん、がんばれ〜
でも、大変さは良くわかりました。

ようやく今回の作業はこれで終わり。一日の仕事の後にこの作業量はなかなかしんどいですね。
次回からやっと縫製工程に入っていくので、今後の工程をちょっと紹介します。

▽▼▽


縫製工程

 次回以降はからはこんなことを行います。
う〜ん、全部紹介するのはちょっと無理っぽいかな?

<< 第1工程 >> ※:☆印はアイロン工程です。
1. 表身頃のダーツを縫う。(バイアスの当て布を中心側につける)
ダーツは脇側に、当て布は中心側に片返しにする。

2. 前身頃のパネルラインを縫う。裏前身頃のパネルラインを縫う。
縫い代を割る。裏前身頃の縫い代は脇側に片倒しにする。

3. 見返しと裏前身頃を縫い合わせる。
縫い代を裏前身頃側に片返しにする。

4. 表後ろ身頃の背中心を縫う。
背中心を割る。

5. 裏後ろ身頃の背中心を縫う。
縫い代にきせをかけて、左後ろ身頃側に片返しにする。

6. 胸ポケットの口布、向かう布つける。
中央に切り込みを入れて縫い代を割る。

7. 腰ポケットのフラップを縫う。
表に返して形を整える。

8. 表袖口あきを縫う。外側線、内側線を縫う。
あき止まりに切り込みを入れて縫い代を割る。袖山をいせる。

9. 裏袖の外側線、内側線を縫う。
縫い代は外側線に片返しにする。中とじ、袖口の始末をする。

10. 表襟の切替え線を縫う。
縫い代を割る。

11. 裏襟の返り線にミシン。襟つけ側を折って端ミシンをかける。

<< 第2工程 >> ※:☆印はアイロン工程です。
1. 胸ポケットを縫う。
胸ポケット作り。

2. 腰ポケットの口布をつける。
腰ポケット作り。

3. 内ポケットに口布をつける。
内ポケット作り。

4. 表襟と見返しを縫い合わせる(襟つけ止りから切替え止りまで)
縫い代を割る。

5. ラベル、前端にテープを貼る。

<< 第3工程 >> ※:☆印はアイロン工程です。
1. 胸ポケットの袋布つけ。
胸ポケットの始末をする。

2. 腰ポケットの袋布つけ、両端の三角布に止めミシンする。
腰ポケットの始末をする。

3. 内ポケットの袋布縫い。
内ポケットの始末をする。胸増し芯、見返し奥にテープをはる。

4. 表身頃の肩縫い。
縫い代を割る。

5. 裏身頃の肩縫い。(ネックから肩幅の1/3まで)
縫い代を後ろ肩に片返しにする。

<< 第4工程 >> ※:☆印はアイロン工程です。
1. 前端縫い(ラベルの襟付け止まりから裾まで)
縫い代に差をつけて裁ちそろえ、一度割って表に返しアイロンをする。

2. 表襟と裏襟を縫い合わせる。(襟外回りにミシン)
表に返し襟の形を整える。返り線の奥に星止めをする。身頃の襟ぐりを整え、しつけで押さえる。

3. 表身頃の脇縫い。
縫い代を割る。

4. 裏身頃の脇縫い。
縫い代を後ろ身頃側に片返しにする。

5. 脇縫い目を中とじする。

<< 第5工程 >> ※:☆印はアイロン工程です。
1. 表襟をつける、中とじミシンをする。
縫い代を襟側に片返しにする。

2. 表襟の切替え縫い目に裏襟まで通してミシンをする。
表襟と裏襟をなじませる。

3. 裏襟を襟つけミシンのきわでまつる。

<< 第6工程 >> ※:☆印はアイロン工程です。
1. 袖付け。
袖つけ縫い目アイロン(袖山を割っても片返しでも良い)

2. 山布をつける。肩パットをつける。

3. 袖ぐりの中とじ。裏布の肩合わせの縫い残しをまつる。

4. 裏袖つけをまつる。

<< 第7工程 >> ※:☆印はアイロン工程です。
1. 裾上げ。奥まつり。

2. 仕上げアイロンする。

3. 穴かがり、ボタンつけをする。


...以上ですが、まだまだ・・・先が長いですね。

最後に・・・
 『クセ取りハ刺し』などをやってみて、今回は下準備(下ごしらえ)の重要性を改めて感じました。
良い服を作るためには、やはり、下準備って必要ですよね?
職人さんの間では『段取り八分』って言われて、物事は、準備が大切で準備さえできていれば実際の作業は上手くいくといわれています。
今回つくづく自分でも実感しました。

それでは、今回はこれで終わりです。
次回お楽しみに…



Copyright 2004〜Yoshimura Co.,Ltd. All Right Reserved.